LOG. 00 — GREAT CRUISE DAO Story — 航海記

ひとりの船から、
みんなの海へ。

なぜ僕は、船団を組むことにしたのか。

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Chapter 01

観光客のままでは、海に出られない― 手放せない、ひとつの動詞

僕には、長いあいだ手放せずにいる動詞がある。move(移動)だ。行きたいところへ、行きたいときに行ける。そのことに、理屈じゃなく執着している。

けれど、海はずっと遠かった。都会とトレンドに疲れて免許を取っても、船は買えない。知識もない。一緒に出る仲間もいない。「行っていいよ」と背中を押す合図もない。だから多くの人は、海の手前で引き返す。憧れはあるのに、選択肢にない。

用意された旅程に乗るのが観光客で、航海そのものをつくるのがクルーだ。僕はずっと、観光客でいることに、小さな違和感を抱えていた。

憧れはあるのに、選択肢にない。その手前を、ひらきたかった。
Chapter 02

十年かけて、船長になった― 海の上で確かめたこと

僕は十年、船のクルーとして海と歩いてきた。やがて、船長になった。海の上で確かめたのは、その圧倒的な美しさと、そこでしか手に入らない純粋な「自由」だ。

最初に乗っていた帆船「Ami」は、帆が八枚あった。全部を上げるには、五人いる。一枚ずつ声をかけ合い、息を合わせて引く。海の上では、船を前に進めることそのものが、はじめから共同作業だった。

やがて、自分の船を持った。帆は、一人でも上げられる。けれど、よほど場数を踏まないと、港に着けることすらできない。――ある航海で、エンジンが止まった。頼れるのは、帆の力だけ。僕は一緒に乗っていた仲間と、考えて、決めて、役割を分け合い、一つずつ手を打って、どうにか港まで帰り着いた。もしあのとき一人だったら、僕は命を落としていたかもしれない。

港に着くと、たくさんの人が駆け寄って、手を貸してくれた。そこでようやく、僕は生きて陸に戻れた。海の自由は、決して、一人きりで手にしたものじゃなかった。

そこで、はっきりと分かった。一人の人間にできることには、限界がある。海は広い。けれど、一人で開けられる扉の数は、知れている。

Chapter 03

救われた人が、救う側にまわる― これは、最初から長期戦だ

だから僕は、一人でやらないと決めた。海を一部の人の特権から、みんなのものへ。眠っている船や港をふたたび動かし、誰もが当たり前に海を使える入口をつくる。

仕組みの芯はこうだ。海に救われた人が、ここで少しずつ経済的に自立し、やがて次の誰かを海へ連れ出す側にまわる。受け取る人で終わらない。一度でも手を動かしてくれた人にとって、ここは「いつでも帰ってこられる母艦」であり続ける。

これは短期では終わらない。地道にしか変えられないことを、僕は最初から長期戦だと覚悟している。

消費者の人生から、降りる。自分の物語の、主人公になる。
Chapter 04

一人で、船団を動かす― 正直に書いておく

正直に書いておく。僕は航路を次々に描くのは得意だが、手の数が足りず、港に船が溜まる。拡げて、ほどいて、束ねる。これを何度も繰り返してきた。立ち上げは速いのに、最後のひと押しで止まる癖もある。

いちばん大きかったのが、この航海だ。二年前、僕は帆船「Ami」を、これから五年で百年もつ船にすると決めた。最初は、若い人を集めて海へ送り出すプランだった。でも、距離も費用も現実に合わず、断念した。入り口になる場所がいる――そう思って、自分の船「JUNO MARE」を買った。動かすうちに、一人でできることの限界と、体験を届けるだけでできることの限界に、同時にぶつかった。

そこで気づいた。Amiを一隻残せたとしても、日本のマリン業界やマリーナそのものが消えてしまえば、足場ごと崩れる。斜陽のなかでやるべきことは、木を一本育てることじゃない。森を、もう一度つくることだ。だから、いったん全部ほどいた。JUNO MARE、エンジニア、ブロックチェーン、イベント、政治、旅――これまでの自分のぜんぶを束ね直して、いちばん大きな目標から、いま何をやるべきかを引き直した。

その結果が、大航海時代DAOだ。

だから、ぜんぶを一人で抱えるのをやめた。いまは、仕事のいくつかをAIに任せている。進捗を見張ってくれる相棒がいて、僕が手を止めているあいだも、船は少しずつ前に進む。あちこちに散らばりがちな記録も一か所にまとめて、いつでも全体を見渡せるようにした。会社員として働きながら、それでも船団が止まらない――そんな仕組みを、少しずつ組み立てている。

走りながら考えるのは、相変わらずだ。ただ一つだけ変えた。失敗も停滞も隠さず、「だから次はこうする」まで必ず書き残す。航海記とは、そういうものだと思っている。

Chapter 05

見た目はカピバラ、率いるのは船団― カピのこと

中高の頃からのあだ名が、カピバラだった。いまも「カピ」と呼ばれている。水辺で泰然と構え、どんな相手とも同じ岸にいられる生き物だ。

嵐の話をするときも、声だけは穏やかでいたい。海の怖さは知り尽くしている。でもそれは、陸にとどまる理由にはならない。

Chapter 06

次の寄港地― ここから先を描くのは、あなた

いまどのあたりにいるか、正直に置いておく。

2025コアメンバーと、協力してくれる船で、シーマンシップを学んでいる。
2030参加者が主体的に海を学び、遊んでいる。
〜2050世界の港と船を、みんなで分散して所有し、使いこなす。自由で開かれた海洋ネットワークへ。

僕たちの船「JUNO MARE」は、ただの移動手段じゃない。あらゆる人が安心して過ごせる生活空間へ、あなたが自由に航海するための母艦へと、これから育っていく。

ここから先の航跡を描くのは、僕ではなく「あなた」だ。乗りかけた船には、ためらわず乗ってしまえ。

同じデッキで会いましょう。 — YUNO 大航海時代DAO 提督 / JUNO MARE 船長